粉ミルクやお菓子にメラミンが混入した事件が、連日報道されています。
WHO(世界保健機関)は、乳製品にメラミンが混入したことに関して、
「生後6ヶ月間までのすべての乳児には母乳だけを与えることを推奨する」という見解を発表し、粉ミルクの使用を控えるように訴えました。
又、WHOは、仕事を持つ母親が世界的に増えていて、母乳を上げられない実態にも言及して、「授乳のために母親の労働環境を整備するように」と主張しました。
このニュースに接して、聖マリア病院の橋本武夫先生の講演(2008.3.21)を思い出しました。
久留米の聖マリア病院の橋本武夫先生は、長く母乳育児を推奨してこられて、「おっぱい先生」と親しまれています。
橋本先生の講演は、母乳に含まれる免疫機構にも触れ、初乳の重要さ、母乳・育児の大切さを、
医学・生理学、社会・心理学など広範に絡めながら、分かりやすく話されました。
赤ちゃんを抱いて、語りかけて、おっぱいを上げる。
HUG(ハグ)することで親も子も育ちます。
社会環境の変化で、子育ての伝承がなくなりました。
赤ちゃんをあやすことも知らない母親が増えています。
父親の存在も重要です。
父親の育児参加とは子と母を抱き締めることです。
夫(父)や社会に向かうべきものが、子供に向かい、虐待につながるのです。
支えあい、響きあうことで、優しさは育まれます。
赤ちゃんを抱いて、おっぱいを上げ、語りかけることで、子供の心が安定し、親子の信頼関係の基礎ができること、
そしてその信頼の上に、子供は自主性や社会性を身につけて成長していくことを、愛情あふれる視点で話されました。
かつては子供の犯罪が多い米国で、クリントン(元大統領)は「生涯最初の日」を設定して、
赤ちゃんへの母乳率を上げた結果、犯罪と虐待率が下がったことにも言及されました。
食への不安が象徴するように、私たちは生きる力を試されている時代に生きています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳を飲むことで命を育みます。
栄養だけなら母乳でなくてもいいのですが、死亡率でみると、母乳1に対して、人工は5.6倍です。
以前は病気の母親は母乳を与えないように指導されました。
けれども、例えばエイズに感染した母親の母乳は、免疫を赤ちゃんに伝達するので、むしろ長生きすることが分かってきました。
母乳は免疫の濃縮ジュースです。
初乳に含まれる免疫の伝達物質は癌も防ぎます。
免疫力は、生きる力です。