「笑いは最高の抗ガン剤!」
夜の食事の後片付けをしていると、TVから聴こえてきた。
ハッとして、手を止めてTVに見入った。
≪奇跡の体験 アンビリバボー≫という番組での、【いのちの落語『病院日記』】の”高座”風景である。
千葉県にお住まいの樋口強さん。
創作落語『病院日記』は、樋口さんが9年前に肺小細胞ガンになられて、その苦しい闘病体験から生まれたという。
TVは、年に一度の高座に集まる人々の、明るい笑顔を写す。
ガン患者とその家族を招待しての「いのちに感謝の落語独演会」開催風景は、笑いに包まれていた。
「隣の人が笑ったら、とりあえず笑っておこうと・・・」(笑)
「笑いは、NK(ナチュラルキラー)細胞を増やすらしいです。NK細胞は、ガン細胞ををやっつける武器です・・・」
現在入院中の方も当然おられて、この落語会に来るために何日も前から調整をして来られたり、
遠くからは付添い人と共に1泊して参加されるという。
TVでは、樋口さんの日々を振り返る。
医師からガン宣告を受けても、仕事のスケジュールしか頭になかったという、まさに「アンビリバボー」な樋口さんの猛烈社員振りが描かれていた。
大学の落研(オチケン)こと「落語研究会」で出会われたという奥様の支えが、勝れて力強い。
名看護は、患者の生きる力を活性させるというが、倒れた企業戦士を、待ってましたとばかりに笑顔で支える。
「私がついているでしょう!!」と。
手術後の闘病生活は当然苦しく、奥様の心遣いの落語のテープを、最初は聞く気にもなれなかったという。
ベッドで塞いでいるときに、ふと思い出して、お気に入りだった懐かしい落語のテープを聞いてみた。
名人の話芸にひきこまれ、面白さに笑っている自分がいた。
学生時代は、ネタを覚えたり呼吸を盗んだりと、研究対象であった落語だが、今は、心から笑っていたそのことが、自分自身の元気を支えていることに、気付かさせてくれたのだ。
退院の後、家を改築されて、これからの二人の人生を充実させようと力を合わされている姿が、まぶしく美しい。
樋口さんは、抗ガン剤治療の副作用のためか、完全とはいえないご様子だが、それでも落語の笑いはシャープである。
「夫婦で、何でも隠さずに話します、当然喧嘩もよくします、最後は私が勝つんです・・・落語やってますから。」(笑)
「今、うちの家内が考えていること、大体分かってるんです・・・口がしびれる抗ガン剤さがしてます。」(爆笑)拍手。
落語の風刺や諧謔によって鍛えられた笑いが、免疫を高め、その免疫が新たに学習し、より活性化されて「いのちの落語」となり、周囲の方の免疫をも、高め続けている。
「笑いは最高の抗ガン剤!」
心からそう思う。
※ここで引用した落語のセリフは、抜粋した一部です。『病院日記』(CD付き)は本になっています。ご一読(聴)下さい。